人と妖が交わる街・広平城で出会ったふたり。交錯する運命、秘められた真実、抗えぬ想い―。幻想と宿命に彩られた、究極のファンタジー・ロマンス時代劇。繁華を極める広平城―。人と妖が密かに共存するこの街では、妖たちは人の姿を借りて暮らしており、その存在に気づく者はほとんどいない。名家の令嬢・半夏は、生まれつき“人ならざるもの”の影が見えてしまう特別な瞳を持っていた。その力ゆえ、どれほど慎ましく育っても、人々からは「気が触れた娘」と噂されていた。ある日、義姉が妖であることを見破った半夏は、命を狙われる身となる。逃亡の中で出会ったのは、捉妖師（妖怪ハンター）・宣夜。宣夜との出会いをきっかけに、半夏は人と妖が交錯する世界の深部へと足を踏み入れていく。やがてふたりは、【碧玉梨による若返りの噂】【九命猫の命の取引】【「広平春宵図」に秘められた一日限りの時の輪廻】など、広平城で巻き起こる奇怪な事件を追いながら、次第に心を通わせていく。しかし宣夜には、決して明かせぬ過去と秘密があった…。